「ウェブサイトの使いやすさ」カテゴリでは、得点が8ポイント以上の自治体が30サイトを超えるなど、「情報の公開度・先進性」カテゴリに比べて高い評価となった。ただ、一般ユーザーには馴染みのない難解な言い回しや、トップページをはじめとする上位階層のみに対応したアクセシビリティ施策など、サイト内部のユーザビリティに関してはスコアに大きなバラつきもみられた。
アクセシビリティ
ノミネートサイトに限らず、多くの自治体で「ウェブ・アクセシビリティ」への取り組みが積極的に行われている。JIS規格に基づいたアクセシビリティポリシーを掲載しているサイトも多く、基本的なアクセシビリティに関する評価は各サイトで大きな差はみられなかった。ただ、「行間」や「文字サイズ」、「コントラスト」など、デザインに関連する項目では、達成率の低さが目立った。特に「行間」に関しては、WCAGやJIS等のガイドラインの基準を下回るサイトが半数近く確認された。また、これらアクセシビリティ関連の施策が、トップページなど上位階層でしか行われておらず、結果的にサイトの統一性といったサイトの使い勝手を阻害する要因となるケースも散見された。
サイトナビゲーション
サイト内の回遊性を確保するグローバルナビゲーションやパンくずリストの設置は、いずれも高い達成率となった。ただ、よりきめ細かな工夫という点では各自治体による取り組みの差が出た。メインメニューにおける現在位置が把握可能な色や形の変化や、パンくずリストにおける「現在地」などの説明併記がその一例だ。熟練したインターネットユーザーには不要と感じるものであっても、このような細やかな工夫が、いざサイト内で迷った時の有効な"位置"情報となる。よりユーザーの立場にたったナビゲーションへの配慮といえる。
情報構造、レイアウト
ウェブサイトの利用者が感じるストレスとして挙げられるのが、目的のコンテンツが見つからない事である。特に、自治体サイトにおいては、ショッピングサイトで欲しい商品が見つからないのとは訳が違う。災害・救急医療情報などの「到達容易性」が求められるコンテンツがファーストビューになかったり、法人税といった事業者向けの情報が住民向けの情報カテゴリにあったりと、そのサイトを使い慣れていないユーザーにとって、不親切な構造やカテゴライズが散見された。
更新情報
サイトの更新情報をチェックするのに便利なRSSも、サイトリニューアルなどにあわせて導入するサイトが増えており、今回のノミネートサイトにおいても、その数は7割にのぼった。さらに、上位のサイトでは、情報区分によってRSSを複数用意したり、初心者ユーザー向けに「RSSとは?」などの解説ページを設けたりと、利用を促す工夫もなされている。
情報検索
目的の情報が見つからない場合に便利なサイト内検索やサイトマップは、ノミネートサイトのほぼ全てで用意されていた。サイト内検索では、検索エンジンの既存サービスを利用した比較的シンプルなものが主流となっているが、中にはより詳細な検索機能を備えたものもいくつか登場している。PDF形式の除外をはじめ、情報区分や更新期間の指定といった、コンテンツ量の多い自治体サイトならでは便利な検索機能が備えられている。
(このレビューは2010年3月10日までの各自治体サイトに基づいています)