「情報の公開度・先進性」カテゴリランキングでは、8ポイント以上の高評価となった自治体が、総合1位の大阪市をはじめ5サイトで、「ウェブサイトの使いやすさ」カテゴリと比較して、ややスコアのバラつきが大きくなっている。
ライフイベント情報
多くの自治体サイトで取り入れられているのが、「出産」や「引越し」といったライフイベントによるナビゲーションメニューだ。直感的でわかりやすいアイコンを用いたものが多いのも特徴的だ。ただ、入り口が分かりやすい反面、肝心のコンテンツが見当たらない、またはそもそも用意されていないといったケースも散見された。例えば、「結婚」というライフイベントメニューに転入や転出に関する情報しか掲載されていない、「入園・入学」に保育園の情報しか掲載されていないなど、同じライフイベントでも、サイトによって情報量には大きな差がみられた。
住民生活関連情報
今回の調査では、「ごみの出し方」や「上下水道」、「防災」や「福祉」といった、より生活に密着したコンテンツの充実度を—住民生活関連情報—として評価した。特に、「ごみ」に関連する情報は、ほとんどのサイトで充分な情報量が提供されていた。中でも、半数以上のサイトでみられた印刷用のゴミ出しカレンダーは、情報の"持ち出し"に配慮したきめ細かな取り組みだ。一方、「防災」「医療」に関する情報は、見つけるのに一苦労する事が多く、例えば、休日の診療案内など、ユーザーにとって緊急性の高いコンテンツが、非常に深い階層にあるケースがみられた。
ビジネス関連情報
入札・契約などの事業者向け情報も、自治体サイトの重要なコンテンツのひとつだ。ただ、入札情報こそほとんどのサイトで用意されているものの、その他の事業者向け情報は、見当もつかない場所にあるケースが多い。高評価となったサイトでは、入札・契約情報だけでなく、法人税や企業向け融資、事業系のごみから建築関連の届出にいたるまで、その名のとおり"ビジネス"関連情報がしっかりと網羅されている。
オンラインサービス
電子申請システムや蔵書検索予約、施設予約など、いわゆるオンライン行政サービスは、近年の自治体サイトを象徴するコンテンツのひとつである。ただ、これらオンラインサービスのほとんどは、複数の自治体が共同で運用していたり、独自のインターフェイスとなっていたりと、自治体サイト内のコンテンツというよりも外部サイトとしての性格が強い。調査では、これらサービスの導入状況のほか、よりスムーズにサービスを利用できるかという面でも自治体によって評価に差が出る結果となった。例えば、電子申請であれば利用可能な手続きの一覧、施設予約であれば利用登録についての説明など、そのサービスについてのサマリー情報を"はさむ"サイトがより高い評価となっている。
FAQ
情報量が膨大なサイトでは、ユーザーの利便性向上だけでなく、問合せそのものの軽減が期待できるFAQ(よくある質問)を設置するケースも多い。今回のノミネートサイトにおいても、7割超のサイトでなんらかのFAQコンテンツが用意されている。とはいえ、実際には、数種類の質問と回答が掲載されただけのページから、FAQ内をテキスト検索できる多機能なものまで、その充実度は様々だ。上位にランクインしたサイトにおいては、質問の検索機能のほか、アクセスランキングなどより細やかな情報提供が行われている。
(このレビューは2010年3月10日までの各自治体サイトに基づいています)