松井証券は創業90周年を迎えた老舗証券会社で、インターネット専業証券会社の草分け的存在だ。
松井証券は、基本的に投資信託を取り扱わない(現状では米ドルMMFのみ取扱い)一方で、例えば株式取引では信用取引の一般信用売建の取扱いや、先物・オプション取引ではCME日経225先物(日経平均先物夜間取引)までも取り扱うなど、注力分野においては他社とひと味違ったサービスを展開しているという特徴がある。特に株式取引における投資情報の提供については、他社と一線を画している。
証券会社によって提供される投資情報の「ボリューム」や「切り口」は様々であり、証券会社を比較する際に見るべきポイントの一つである。松井証券では、情報ツール「QUICK情報」で各種マーケット指標や個別銘柄の株価・決算情報・チャートなどを幅広く提供していることに加え、情報ツール「QUICKリサーチネット」ではアナリストなどの専門家による分析レポートも提供している。つまり、投資情報について広さと深さを兼ね備えた情報提供を行っているといえる。
さらに注目すべき点として、ユーザーが情報分析を行う少し前の段階、つまりどういった銘柄に投資すべきか模索しているときに便利な情報サービスも提供されていることがあげられる。その一つが「ニュースファインダー」である。これは指定したキーワード(例えば「新型インフルエンザ」や「上方修正」など)に関連する銘柄を探すことができるという情報ツールである。もう一つ、「チャートフォリオ」というツールも提供されている。これは、25種類に分類された「チャートの形」を切り口に銘柄を探すことができるツールである。どちらのツールも、日々接することの多いニュースやチャートという身近な情報を、銘柄探しの切り口として活用できるようにする仕組みであり、「投資したい銘柄を探す」という段階にいるユーザーに示唆を与えてくれる有益な機能となっている。
なお、ここで紹介した情報サービスについては全て無料で提供されており、気軽に利用できることもユーザーにとって嬉しい点である。
松井証券では各種の投資情報ツールが取引サイトから独立した構造となっているが、例えば、取引ページの個別銘柄詳細情報ページで「チャート」のボタンをクリックすれば、情報ツールのチャート情報が自動的に立ち上がるような連携が図られており、使いにくさを感じさせることは少ないだろう。ただし、主要ページからの導線が弱くなっている機能やサービスについては、機能の存在自体に気がつかれないということが発生していることも考えられるため、この点については改善を期待したい。
そのほか、モバイルサービスで第一位となっているように、モバイルチャネルの使い勝手が高い点は長所の一つである。ログイン前サイトから主要マーケット情報や個別銘柄の株価情報を閲覧できるため、市況情報を手軽に確認したい場合にも便利である。さらに出先などで取引を行いたい場合にも(普段使う携帯電話からアクセスしている限り)ID入力を省略してパスワードだけでログインできる「簡単ログイン」が採用されているため、少ない操作で素早く自己の口座にアクセスすることができるため使い勝手がよい。
(本レビューは、2010年1月20日時点のサービスに基づいております)
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