2011年11月30日
モーニングスター株式会社ゴメス・コンサルティング事業部は、今年もIRサイト一斉調査を行った。これは来春の更新を予定している「Gomez IRサイトランキング2012」に先駆けて実施したものである。今回は毎年恒例となっているこの調査の主要な結果を眺めてみたい。
調査対象となるウェブサイトは、2011年11月15日時点における上場企業3,570社である(例年どおり、IPO後1年未満の企業、および整理ポストなど上場廃止が決定している企業は除外している)。昨年実施した同調査のサンプルが3,639社であることから、差し引き69サイトの減少となっている。上場廃止による市場からの退場社数は引き続き高い水準にとどまっている。
それでは、IRサイトの状況を見てみよう。今年も決算短信をはじめ、有価証券報告書や各種の任意開示資料の掲載度合いをチェックした。以下が、その結果である。
※ 2011年11月 ゴメス・コンサルティング事業部調べ
前回(2010年10月時点)調査で大きく採用率を伸ばした有価証券報告書は、今回の調査でも大きな伸びを見せている。その他、株主通信や決算説明会スライドなどを掲載するサイトも緩やかながら増え続けている。
もっとも、情報を掲載する「場所」や「配置」に対する配慮がなく、情報がきわめて探しにくいサイトもまだまだ多い。各資料の過去のアーカイブも積み上がってきた昨今、系統立てた掲載情報の整理は喫緊の課題だ。
他方、アニュアルレポートはほぼ横ばいとなっているが、一部でPDF一辺倒であったその掲載方法に変化が出始めている。「オンラインアニュアルレポート」あるいは「インタラクティブアニュアルレポート」と呼ばれる、全編HTMLベースで編集されたアニュアルレポートサイト(ページ)を初めて採用する企業が増加しているのである。
これは従来のPDF形式と違って、ナビゲーションを有し、ハイパーリンクによって自分の欲するページに即座に移動できる、いわば「年間の経営活動とその成果を報告するためのミニサイト」とでも言うべきコンテンツである。サイト内検索や文字サイズの変更、コピー&ペーストなどもやりやすい。動画による解説、あるいはチャート生成機能などを組み込んで、情報をリッチに伝える先進的なものもある。
従来の紙をベースとしたPDF形式の開示方式から、Webを中心に…というような開示スタイルへの変化がこれからも続くのか、今後も注目していきたい