2010年6月15日
今回も、日本企業が会計情報をはじめとする各種IR情報を世界に対して発信する際の主役となる英語IRサイトを概観してみよう。前回(2010年6月3日発表分)同様、今回も2010年5月10日~21日にかけて、日経500採用企業500社をサンプルに行った簡易調査を元にしている。
下図は、英語IRサイトにおける基本コンテンツの掲載状況をまとめたものだ。
まず、(英文)Annual Reportの掲載率は79%に及んでいる。外国人投資家に対する経営・業績報告の主要ツールであるため、(内容の差異はあれ)その掲載率は高い。
もっとも、ファイル形態はPDFばかりであり、欧米主要企業が提供するHTMLベースのオンラインレポートは皆無である。実物を取り寄せない限り、大容量のPDF版Annual Reportを(時間をかけて)ダウンロードして見るしか報告書を参照する術がないようだ(もっとも、これについては日本語でも同様だが…)。
次に、売上や利益をはじめとする業績指標の推移グラフの掲載率は53%。オンラインレポートがない日本企業サイトにおいて、業績ハイライトページはグラフや図などのビジュアルが登場する数少ないコンテンツのひとつであるが、サンプルの半数の企業が(英語サイトにおいても)これを掲載していることになる。ちなみに、(2009年10月時点のデータではあるが)ほぼ同一サンプルの日本語サイトでは、67%の企業が同様のグラフを掲載している。
そして、英語サイトにおいてIRイベントカレンダーが確認できたサイトは57%にとどまった(2009年10月時点の日本語サイトは83%)。日本語圏以外のユーザーがIRサイト上で今後のIR活動スケジュールを確認することができない企業も多いことがわかる(さらにこの類のサイトは、往々にして問い合わせ先の記載がなかったり、わかりにくかったりするので、確認の術がないこともまた多い)。イベントカレンダーの更新が1年以上停止・放置されているサイトが散見されたことも付言しておこう。