2023年5月12日
2023年3月以降開催の株主総会より、株主総会資料の電子提供制度が適用開始となりました。
本制度の主な狙いは、株主総会資料の印刷・郵送などに要する負担の軽減および、株主総会資料の記載情報の充実・提供の早期化による株主とのコミュニケーションの向上です。
一方で、適切に電子提供措置が行われたか否かに関して、「電子提供措置の中断」として定められていることに注意する必要があります。
「電子提供措置の中断」は、会社法第325条の6に定められています。
(電子提供措置の中断) 第325条の6 第325条の3第1項の規定にかかわらず、電子提供措置期間中に電子提供措置の中断(株主が提供を受けることができる状態に置かれた情報がその状態に置かれないこととなったこと又は当該情報がその状態に置かれた後改変されたこと(同項第七号の規定により修正されたことを除く。)をいう。以下この条において同じ。)が生じた場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、その電子提供措置の中断は、当該電子提供措置の効力に影響を及ぼさない。 一 電子提供措置の中断が生ずることにつき株式会社が善意でかつ重大な過失がないこと又は株式会社に正当な事由があること。 二 電子提供措置の中断が生じた時間の合計が電子提供措置期間の10分の1を超えないこと。 三 電子提供措置開始日から株主総会の日までの期間中に電子提供措置の中断が生じたときは、当該期間中に電子提供措置の中断が生じた時間の合計が当該期間の10分の1を超えないこと。 四 株式会社が電子提供措置の中断が生じたことを知った後速やかにその旨、電子提供措置の中断が生じた時間及び電子提供措置の中断の内容について当該電子提供措置に付して電子提供措置をとったこと。 |
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電子提供措置開始日から株主総会の日までの期間中に、一時的に電子提供を行うウェブサイトへのアクセスに中断が生じた場合でも、同条文に定める4つの要件の全てに該当した場合は、当該電子提供措置の効力に影響を及ぼさないこととされています。
しかしながら、本要件のいずれかを満たさなかった場合、招集の手続に瑕疵があることになり、株主総会決議の取消事由の対象になりえるリスクがあります。
電子提供措置と同様、中断が瑕疵にあたる可能性がある手続きとして、電子公告制度があります。
ただし、電子公告は法務大臣の登録を受けた調査機関から調査を受けなければならない(会社法第941条)とされていますが、電子提供措置にはその定めがありません。
電子提供措置も、中間試案の段階では外部調査機関からの調査の義務付けが検討されていました。しかし、電子提供措置にあたっては、株主総会資料を株主以外のものが閲覧できないようにする措置も認められるものの、それらの全ての方法に対応する調査のシステムを構築することが容易でないなどの理由から、最終的な法令には盛り込まれなかったという背景があります。
電子提供措置の実施においては、必ずしも電子公告会社に調査を依頼する必要はありません。
しかし、実務上、その効力を担保するため、各社で電子提供措置が正しく行われるよう対応を検討し、準備することとなります。
電子提供措置の効力を担保するためには、電子提供措置期間中、提供が継続して実施されていたことを証明する記録を残すこと、また、サーバーダウンやハッキングなどによるアクセスの不良、中断の発生を速やかに把握し、復旧するための対応を予め準備しておくことがポイントとなります。
特に、アクセス状況については、自社サーバーが稼働していても、外部から問題なく表示されているとは限らず、外部から表示状況を監視する必要があります。
株主総会資料電子提供措置の実施調査・中断対策には、パフォーマンス&セキュリティ専門会社である当社が提供する「BBSecヘルスチェックサービス」が最適です。
対象PDFの死活監視だけでなく、リンク元HTMLページのパフォーマンス監視を実施。
リアルなアクセス環境をチェックします。
日次・週次・月次の定期調査報告で、状況を速やかにお知らせします。
貴社にてお使いいただける管理画面・ダッシュボードをご用意。
電子公告調査会社へ依頼した場合、費用は6ヶ月間でおよそ10万円前後となるところ、「BBSecヘルスチェックサービス」は年間6万円(税別)よりご利用いただけます。
監視対象の追加や表示速度改善アドバイスを必要とされる場合、別途お見積りとなります。
お申込みは当社担当者へのメールまたはお問い合わせフォームよりご連絡ください。