銀行サイトのトップページ~スマートフォンにとっての「最適」とは何か?~

2015年1月27日

銀行サイトのスマートフォン対応

総務省発表の平成25年通信動向利用調査によると、各世帯のスマートフォン保有状況は、平成24年末は49.5%であったのに対し、平成25年には62.9%へと急速に増加している。

実に過半数以上の世帯がスマートフォンを保有しているという現状に対応し、銀行側もスマートフォン専用サイトを別途開設する流れにある。「店舗検索」「金利一覧」「手数料一覧」「インターネットバンキング」などのよく利用される機能をコンパクトに配置したスマートフォンからの閲覧に適した専用サイトを、PC用サイトとは別に用意しているのである。

弊社調べでは国内の主要な109行のうち86%が既にスマートフォンからの閲覧に対応しているのだが、そこへの誘導については方法が分かれている。

PCサイトにおける3つのスマートフォン対応

一般的にスマートフォンでWebサイトへアクセスした場合の表示形式は、主に下記の3パターンである。

今回、国内の主な銀行109行のWebサイトについて、スマートフォンから各行のトップページを閲覧した際の表示方法がどのようになっているかを調査した。

スマートフォンでPCサイトを閲覧した際のトップページの表示方法

スマートフォン専用サイトを表示させるケースが55%、PC用サイトを表示させた上でスマートフォンへ誘導するケースが31%という調査結果となった。

なぜスマートフォン専用サイトへの誘導ボタンを設置しているのか

そもそもPC用サイトの上部にスマートフォン専用サイトへの誘導ボタンを設置するというのは、 スマートフォンが普及し始めた2009年頃によく見られた手法だ。

当時はスマートフォンに対応したサイトはまだまだ少数であったため、あえてPC用サイトから誘導することで「スマートフォンでも利用できる」ということをユーザーに強く印象付け、スマートフォン専用サイトの認知度を上げようとしていたという事情が背景にある。

ところが2014年の現在では、前述の通りスマートフォン保有率は62.9%にのぼる。「スマートフォンでも利用できる」ということはもはや特別なことではなく、既に一般化していると言ってもよいだろう。また企業側もスマートフォン専用サイトのコンテンツを拡充させており、ユーザーの大部分はPCを併用せずともスマートフォンからの閲覧のみで用が済むようになってきている。

それならば、あえてPC用サイトに誘導ボタンを設置して余計なワンクリックをさせる必要はなく、スマートフォン利用者には初めからスマートフォン専用サイトを表示させたほうがよいのではないか。

銀行サイトは企業サイトの中でもいち早く部分的なスマートフォン対応をし始めた分野であるが故に、従来の考え方にとらわれすぎているように見える。

銀行サイトトップページのスマートフォン最適化を行う際の考え方

全てのサービスに対してスマートフォンページが完全に用意されているならば、 トップページは初めからスマートフォン専用サイトを表示させて問題ないだろう。

ではスマートフォンに対応しているのが一部のページである場合はどのように考えるべきか。銀行サイトは取扱いサービスが豊富であることからページ数も多い。サービス内容によってはスマートフォンページが用意されておらず、PC用サイトへ誘導しているケースが少なくない。
「スマートフォンで見たいのに、結局ほとんどPCサイトへのリンクではないか」という嫌悪感を持つユーザーも中にはいるだろう。しかしそういった一部のユーザー心理に配慮して、一旦スマートフォンからのアクセスにもPC用サイトを見せるという運用を続けるのは、もはや時代遅れではないだろうか。

スマートフォンの保有率は今後も伸びていき、それに伴って「スマートフォンで操作したい」ユーザーも増加していくものと考えるのが自然である。全てのサービスのスマートフォンページが整備されていなかったとしても、やはりスマートフォンからのアクセスに対してはスマートフォン専用サイトのトップページを表示させるべきであり、トップページ以外の未対応のページやコンテンツは早急に整備を進めていくべきである。

(ゴメス・コンサルティング 森澤 正人)