2014年12月15日
前回2012年の衆議院選挙では、選挙速報の各サイトにも分かりやすさや操作性の観点から様々な特徴が見られた。
今回の2014年の衆議院選挙においても、選挙速報の特設サイトが閲覧ユーザーにとって分かりやすく意味のあるものであったか、 新聞社などのニュースサイトを中心に検証してみたい。
画面の右側で自動的に縦に流れていく当選者の情報が、臨場感を感じられて面白く、また、日本地図に当選者の色分けとともに 「自」「公」「民」と書いてあるのも全国の状況を瞬時に判断できてわかりやすい。
一方で、候補者のプロフィール情報は最低限のものしか掲載されておらず、実際の候補者の考えを知るには不十分だ。
基本的なレイアウト構造やデザインは、半円グラフの背景の国会議事堂の写真も含め前回の2012年とほぼ同じであり、進歩は感じられなかった。
前回では半円グラフは左から始まる青色が「民主・国民」、右の赤色が「自民・公明」だったのが、今回は左が赤色で「自公」、 右が青色で「野党など」となっている。解散時の与党が左側に来るのはわかるが、その表現も含めて政治状況が反映されていて興味深い。
選挙に関するニュースの一覧を画面上部で大きく扱っており、全体としてはビジュアルというよりも、文字と説明を中心とした特設サイトとなっている。
候補者のプロフィールには、朝日・東大谷口研究室共同調査による政策・政治スタンスが記載されており、いくつかの質問に候補者が回答する形で、候補者の考え方を表している。
右側のエリアには日本地図があり候補者や開票状況がわかるものの、画面を下にスクロールするとそこにも日本地図がある。 どちらもリンク先は同じページであり重複感があるように感じられる。
選挙速報のサイトで最初に閲覧したいのは各政党の当選者数と与野党の勢力図だ。その点、NHK衆院選2014のサイトでは、 画面内を大きく半円状のグラフと結果数値が占めており、わかりやすさとインパクトを兼ね備えている。
その他の情報も、レイアウトとしてブロック単位となっており、それぞれの情報が更新できるようになっていたり、 「さらに詳しく」ボタンを押すことによって詳しく情報を知ることができるようになっていたりする。選挙区はお気に入り登録をしておくことができるのも便利だ。
政党別の議席獲得状況は、前回のみならず、民主党が政権を獲得した2009年、郵政解散の2005年のものも参照できる。 動画が充実しているのもNHKらしさを感じられる。今回調査したなかでは、Web技術のトレンドを最も上手に取り入れたサイトだった。
MSNとの提携解消により、MSN産経ニュースは2014年10月から産経ニュースとなった。
ニュースのカテゴリを「与党」と「野党」で分けているは特徴的だ。画面下部には選挙期間中の各政策を含むツイート数の推移が折れ線グラフで表示されている。 「景気回復・経済成長」が最もツイートされていることが一目瞭然だ。
一方で、サイト全体として表示速度が遅い箇所も見受けられた。表示速度はサイトの使いやすさに直結する問題であり、改善が望まれる。
今回も2012年の選挙特集のサイトと同じように、画面上部にはバナー広告、画面右上には動画広告が入っている。
確かにウェブサイト運営は収益性を求めないといけないし、選挙速報には大きなページビューが期待できる。 しかし、その広告のせいで肝心の開票状況や選挙区ごとの状況がわかりづらくなっているのではないか。例えば他社サイトであるような 日本地図による選挙区詳細へのリンクは、毎日新聞の選挙速報サイトには掲載されていなかった。
候補者プロフィールには政策に関して15問に渡るアンケートへの回答が記載されており、評価できる。 今回調査した選挙速報のサイトの中では最も詳細だった。
前回の選挙速報サイトとほとんど変化がなかったサイトもあれば、使い勝手や情報量の面で改善を図ってきたサイトもあった。 変化が必ず改善につながるわけではないが、2012年から2年間のWeb技術やデザインのトレンドを取り入れることも重要だろう。 産経ニュースのツイッターへの取り組みや、NHKのブロック型のレイアウトはそれに該当する。
グラフ上に、過半数ラインだけではなく絶対的安定多数である266議席のラインを表示させていたのはNHKのみである。 さらにNHKでは絶対的安定多数を超えると、次は3分の2の317議席のラインを表示させていた。
開票が進むにつれて有権者の関心は変化していくのであり、それに沿った選挙速報サイトが望まれている。
(ゴメス・コンサルティング 森澤 正人)
前回の選挙速報サイトとほとんど変化がなかったサイトもあれば、使い勝手や情報量の面で改善を図ってきたサイトもあった。 変化が必ず改善につながるわけではないが、2012年から2年間のWeb技術やデザインのトレンドを取り入れることも重要だろう。 産経ニュースのツイッターへの取り組みや、NHKのブロック型のレイアウトはそれに該当する。
グラフ上に、過半数ラインだけではなく絶対的安定多数である266議席のラインを表示させていたのはNHKのみである。 さらにNHKでは絶対的安定多数を超えると、次は3分の2の317議席のラインを表示させていた。
開票が進むにつれて有権者の関心は変化していくのであり、それに沿った選挙速報サイトが望まれている。
(ゴメス・コンサルティング 森澤 正人)