ESGサイトランキングとは

ESGサイトランキングとは

ESGサイトランキングの調査範囲:「ウェブESG」とは

「Gomez ESGサイトランキング」では、上場企業が様々なステークホルダーに向けた広報活動を行うためのウェブサイト(ESGサイト)を評価しています。

当社は、これまで国内の上場企業が提供する株主・投資家向け広報(以下「IR」)サイトランキング調査を13回実施し、企業の情報発信について定点観測を続けてきました。ここ数年の顕著な傾向として、企業のIRサイトにおいては、財務情報だけではなく、経営戦略、コーポレートガバナンス等の非財務情報の充実が挙げられます。更に、ESG投資の急速な拡大やサステナビリティへの社会的関心の高まりを背景に、企業は様々なステークホルダーに向けて、自らの経済活動や社会活動をESG情報として積極的に情報発信していくことが強く期待されています。そのため、当社では、ESG情報に特化したランキング調査を行うこととしました。

「Gomez ESGサイトランキング」では、ESG情報を、基礎的なIR情報に加え、企業理念、経営戦略、コーポレート・ガバナンス、環境や社会に対する活動、そしてそれらに関する各種リリースや報告書等、企業経営や社会活動に関わるすべての情報を包含する広義の概念として認識しています。

「Gomez ESGサイトランキング」とは

ESGに関する情報発信は、先行するIRサイトとは異なり、企業ごとに情報発信の内容や手法に大きなばらつきが存在し、まさに黎明期とも言えます。

現時点での各社のESG情報の発信の仕方については、既存のコーポレートサイトやIRサイトの配下でESG情報を拡充させていく企業もあれば、コーポレートサイトやIRサイトと同程度の重要性をもってESG情報の専用サイトを制作する企業もあります。また、ESG情報というのは、完全に独立した新しい情報ではなく、コーポレートサイトやIRサイトの掲載済みの情報とも密接に絡みあっています。そのため、掲載方法や既存情報との関連性を分かりやすく整理し提示していく必要があります。

さらに、ESG情報のうちガバナンス関連の項目については、上場企業においてはある程度のコンセンサスが得られますが、環境関連や社会関連の項目については、事業内容や会社の取り組み方によって、情報発信の内容や方法に大きな違いが生じやすい傾向があります。

「Gomez ESGサイトランキング」の評価の第一義は、ウェブサイトの「ユーザビリティ」にあります。情報はユーザーに認知されてはじめて意味を持ちます。必要とされる情報がなければウェブサイトに価値はありませんが、さりとてウェブサイト上にいくら情報があったところで、それが探しにくかったり、使いにくかったりして、ユーザーが情報を見つけることができなければ、それは情報としての価値を持ちません。もちろん、情報提供の結果として期待される「ユーザーのアクション(行動)」など、望むべくもありません。

このような問題意識から、GomezのESGサイトランキング評価では、ESGサイトに対し、以下の3つの根源的な問いかけを発します。(1)ウェブサイト上にユーザーが求める情報が掲載されているか。(2)情報が、探しやすく容易に手に入れることができるか。そして、(3)株主・投資家を含めた幅広いステークホルダーに対して、分かりやすく明快に理念、方針や実績を説明できているか。

換言すれば、情報の掲載、探しやすい情報構造と動線の設計、そして、情報をわかりやすく伝えるための情報の編集力という3点セットが、ユーザーが各々の目的を容易に達成できる高いユーザビリティを持ったESGサイト実現のための条件となります。

IRサイトは、直接的に株主・投資家に向けて情報発信します。一方で、ESGサイトは、全てのステークホルダーに対して企業経営や社会活動を総合的に情報発信するものです。そこには、従業員や取引先、またそれらの関係者も含まれます。

また、優れたESGサイトとは、既存サイトとも有機的な関連を持ち、全てのステークホルダーに向けたサイトでありながら、最終的には株主・投資家の期待にも応え、投資喚起や長期保有を促すサイトとなるのです。

ESGサイト評価のベンチマークを目指して

IRサイトは、機関投資家やアナリスト等のプロ向けのディスクロージャ資料の「書庫」から、個人投資家を含めた幅広い株主・投資家にとっても有用なコミュニケーション型の情報発信の場へと成長を遂げてきました。

同様に、まさにいま形成期であるESGサイトについても、これから様々な社会的ニーズを取り入れながら発展していくことが期待されており、現在はそれぞれが自社の考え方や実績を伝えるための独自のトライを続けている状況と言えます。こうした数多くのトライのなかから、より効果的で、より有用な情報発信のあり方が生まれてくるのです。

先行して優れたESGサイトを表彰し、広く社会に伝えたい。これからさらにESGサイトを制作・改善しようとする企業の担当者様には、現在の自社サイトの位置付けを確認し、充分な点・手薄な点を確認するための指標(ベンチマーク)を提供したい。

「Gomez ESGサイトランキング」は、そんな想いから出発しています。

2024年9月
ゴメス・コンサルティング事業部