2022年8月31日
株式会社ブロードバンドセキュリティ(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:滝澤 貴志、以下 当社)は、「ESGサイトランキング2022」をGomezのウェブサイト(https://www.gomez.co.jp/)で発表したことをお知らせします。
世界的なESG投資の拡大やサステナビリティに対する関心の高まりを背景に、ESG情報の開示基準の統一化や具体化が国内外で進んでいます。企業においても、幅広いステークホルダーに向けて自社の方針や取り組みを積極的に情報発信することで、社会的課題の解決に応え、ESG投資の観点からも高い企業評価を獲得することを目指しています。日本では東京証券取引所の市場再編を経て、上場企業のコーポレートガバナンス・コードの改訂等への対応が一層加速し、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)や男女間の賃金格差といった開示の制度化が予定される項目に関して、先行して情報発信に取り組む企業も多く見られる状況です。
当社のゴメス・コンサルティング事業では、これまで国内の上場企業が提供する株主・投資家向け広報(以下、「IR」)サイトランキング調査を15回実施し、企業の情報発信について定点観測を続けてきました。こうした調査において顕著なESG情報への注目の高まりを受けて、2020年よりESGサイトランキング調査を開始しました。
確立した開示制度の影響が大きいIRサイトとは異なり、ESGサイトは情報発信の内容や手法に企業ごとに大きなばらつきが存在します。そのため、企業ごとの考え方、取り組みや独自の言い回しを反映し、構成やデザインにおいて個性豊かで特徴的なサイトとなる傾向があります。
ESG情報の発信に積極的な企業においては、ここ数年の爆発的とも言える掲載情報の増加の流れが一巡し、ファインダビリティ(情報の見つけやすさ)の観点からサイト構成や情報の掲載方法を見直す転換期を迎えています。情報の質・量に加えて、情報の見つけやすさやわかりやすさの重要性も増しており、必要な情報を必要なユーザーに効果的に届ける工夫が求められています。一方で、これからESG情報の発信に力を入れる企業の場合は、中長期的な視点でファインダビリティを意識しながら、制度化が見込まれる項目や社会的注目度の高い課題等から掲載情報を徐々に増やしていくことが必要です。
さらに、全上場会社に共通する課題として、ESGサイトの効率的な管理・運用が挙げられます。ウェブサイトで発信する非財務情報は今後も継続して拡大していく流れにあり、担当部署や担当者の負担は益々増えていく見込みです。どのような情報掲載の方法、体制やスケジュールであれば、ユーザーのニーズに応えながらも効率的にESGサイトを管理・運用していけるのか、IRサイトや統合報告書他のレポート等の連携を含め全面的な検討をすることも有効でしょう。
当社のESGサイトランキング調査では、調査項目は「ウェブサイトの使いやすさ」「ESG共通」「E(環境)」「S(社会)」「G(ガバナンス)」の5つの切り口から成り、主要ユーザーである株主・投資家だけではなく、幅広いステークホルダーの視点を盛り込んで設定されています。今年で3回目を迎えるESGサイトランキング調査では、例年に続き、国内外における非財務情報に関する制度改正、トレンドや社会的課題への注目度といった新規の要素も取り入れながら、これらをGomezのアナリストが評価し、総合的に優れたESGサイトのランキングを決定します。
「Gomez ESGサイトランキング2022」上位10社は、以下のようになりました。
順位 | 得点 | 会社名 | 前回 |
---|---|---|---|
1位 | 8.54 | 伊藤忠商事 | 1位 |
2位 | 8.28 | 日本電気 | 19位 |
2位 | 8.28 | 双日 | 9位 |
4位 | 8.27 | 三井物産 | 4位 |
5位 | 8.18 | コニカミノルタ | 7位 |
6位 | 8.17 | ソフトバンク | 17位 |
7位 | 8.16 | りそなホールディングス | 33位 |
8位 | 8.15 | 第一生命ホールディングス | 11位 |
9位 | 8.13 | MS&ADインシュアランスグループホールディングス | 12位 |
10位 | 8.12 | ヤマハ | 18位 |
※「Gomez ESGサイトランキング2022」(2022年8月31日発表)
※11位以下の総合ランキング結果はGomezのウェブサイトをご覧ください。
「Gomez ESGサイトランキング2022」ノミネート企業174社のウェブサイトから、総合得点6.00点以上に贈られる「ESGサイト優秀企業」に今年度は151社が選定されました。
今回で3回目となるESGサイトランキング調査は、5つのカテゴリから構成され、総合得点だけでなく、5つのカテゴリにおいても得点と順位の算出を行っています。調査結果として、まずESGサイトの拡充に取り組む企業の裾野拡大が挙げられます。本ランキング調査において、本選ノミネート企業から最終調査にすすんだ企業数は、前年度160社から本年度は174社に増加し、最終的な調査結果に基づき決定する「ESGサイト優秀企業」が前年度102社から本年度は151社に大幅増という結果となりました。
例年に続き、前年度から大幅にスコア・順位を上げて上位にランクインする企業も多く見られました。大きくスコア・順位を上げた企業は、構成やデザインを含めたESGサイトの大幅な見直しを行ったケースや、企業情報やIR情報の配下にあったCSR情報をIRサイトと同列のESGサイトとして階層を引き上げて内容の拡充を行ったケース等が挙げられます。
また、殆どのノミネート企業において、カテゴリ毎のスコア・順位に大きなばらつきがある傾向も例年に引き続いています。特定のカテゴリの結果が大きく足を引っ張って、総合スコア・順位を下げているというケースも見られます。
今回のノミネート企業(174社)において、重要課題(マテリアリティ)やSDGsに関して目標値、KPIといった具体的な取り組みや数値まで掲載している企業は、それぞれ67社(38.5%)、78社(44.8%)となりました。いずれも前年度から達成率が10%以上の大幅な伸びを示す結果となり、説得力を持たせるべく目標や取り組みについてより具体的な情報発信に努めている企業姿勢がうかがえます。
前年度に引き続き、気候変動に関する何らかの記載を行っている企業は全体の9割を超えますが、気候変動に関する時系列データを掲載する企業は、66社(41.3%)から137社(78.7%)に大きく増加しました。さらに、GHG排出量データ(Scope3)の掲載まで行う企業も83社(47.7%)となりました。また、TCFDのガイドラインに則った情報掲載を行っている企業は、前年度でも既に54社(33.8%)でしたが、今年度は110社(63.2%)と過半を超える企業が先行して情報発信を行っている状況が確認できました。
労働環境に関する「有給休暇取得率」「平均残業時間」といった時系列データの掲載は、それぞれ96社(55.2%)、67社(38.5%)の企業が掲載しており、いずれも前年度と比較して20%以上の大幅な達成率の伸びを見せています。また、社会的な関心の高まるリスキリング等を含む従業員の研修時間や費用に関する実績データの掲載も51社(29.3%)が掲載しています。2022年4月から義務化された男性の育児休業については、68社(39.1%)が具体的な取り組み等を掲載し、101社(58.0%)が取得率や取得者数を時系列データとして掲載しています。多様なステークホルダーからの関心を集める社会性の項目については、法制度の変更、社会的な関心の推移や他社動向等を踏まえて、追加対応の是非を細やかに検討することが期待されていると言ってもいいでしょう。
改訂コーポレートガバナンス・コードにおいて公表項目として挙げられたスキルマトリックスを掲載する企業は、前年度は16社(10.0%)にとどまりましたが、今年度は74社(42.5%)と大きく伸長しました。PDFの統合報告書や株主通信のなかに掲載しているケースもありますが、注目度の高い重要な情報だけに、ユーザビリティの観点からはウェブサイトにHTMLで掲載することを推奨します。また、役員報酬の決定プロセスと算定方法について具体的に掲載している企業は116社(66.7%)となりました。取締役の業績連動報酬制度においてサステナビリティに対する評価項目も有する旨を掲載している企業は、前年度の21社(13.1%)から43社(24.7%)となり、着実に増加傾向にあると言えます。
ウェブサイトにアクセスした際にCookie(クッキー)使用について同意を求めるポップアップが表示される企業は57社(32.8%)と、セキュリティ対策については引き続き対策強化が必要な企業が多い状態となっています。
掲載するコンテンツの増加により迷路化しがちなESGサイトにおいては、ファインダビリティの確保の観点から、検索機能の強化やサイトマップやフッターナビゲーションによるアシストといった様々な工夫が重要です。サイト内検索を目立つように設置している企業は129社(74.1%)、サイトマップがすべてのページから参照できる企業は156社(89.7%)となっています。英語サイトやESGサイトといった特定のページにサイト検索機能がないケース等も見受けられるため、様々なステークホルダーやサイト訪問目的を想定して、機能に不足がないかを改めて見直すことも必要でしょう。
順位 | 得点 | 会社名 |
---|---|---|
1位 | 9.68 | UACJ |
2位 | 9.46 | 富士電機 |
2位 | 9.46 | JSR |
2位 | 9.46 | 大建工業 |
5位 | 9.41 | 日本ペイントホールディングス |
順位 | 得点 | 会社名 |
---|---|---|
1位 | 9.31 | SOMPOホールディングス |
2位 | 9.30 | ソフトバンク |
3位 | 8.87 | 伊藤忠商事 |
4位 | 8.75 | 三井住友フィナンシャルグループ |
5位 | 8.74 | セブン&アイ・ホールディングス |
順位 | 得点 | 会社名 |
---|---|---|
1位 | 9.20 | セイコーエプソン |
2位 | 8.91 | 野村不動産ホールディングス |
3位 | 8.86 | 三菱瓦斯化学 |
4位 | 8.71 | 伊藤忠商事 |
4位 | 8.71 | 日本電気 |
順位 | 得点 | 会社名 |
---|---|---|
1位 | 9.42 | 日本電気 |
2位 | 9.34 | りそなホールディングス |
3位 | 8.90 | リコー |
3位 | 8.90 | 三菱商事 |
5位 | 8.82 | 三井物産 |
順位 | 得点 | 会社名 |
---|---|---|
1位 | 8.79 | コニカミノルタ |
2位 | 8.77 | ソフトバンク |
3位 | 8.62 | リンテック |
4位 | 8.60 | ナブテスコ |
5位 | 8.57 | ミネベアミツミ |
※6位以下の各カテゴリーランキング結果はGomezのウェブサイトをご覧ください。
調査期間 |
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調査対象 |
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調査手順 |
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カテゴリ名称 | 評価内容 |
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ウェブサイトの使いやすさ | 情報の見つけやすさや各コンテンツの見やすさ・使いやすさ、さらにアクセシビリティ基準への対応状況等を総合的に評価します。Gomezランキングの根幹となるカテゴリです。 |
ESG共通 | 企業情報サイトやESGサイトにおいて、自社のビジネスに照らし合わせたESGに対する考え方や取り組みをどのように情報発信しているのかを総合的に評価します。客観的な評価指標の1つとして、外部評価やイニシアチブについても重要視しています。 |
E(環境) | 環境への取り組みを評価するカテゴリです。気候変動、水質保全、資源循環等の各分野での取り組みや数値データ等の開示状況を評価します。 |
S(社会) | 社会への取り組みを評価するカテゴリです。ステークホルダーや社会貢献活動の対応状況や人権、人事制度や労働環境について評価します。 |
G(ガバナンス) | ガバナンスに関する取り組みを評価するカテゴリです。コーポレートガバナンスや、内部統制に関する考え方や取り組みを評価します。 |
Gomezは、インターネット上で提供されるサービスを中立的な立場から評価・分析し、インターネット利用者の利便性向上とEコマース市場などの拡大に貢献するための情報提供・企業向けのアドバイスを目的とし、消費者・企業双方に対して利益となる情報を掲載しています。
Gomezを運用するゴメス・コンサルティング本部は、BBSec が2021年7月にモーニングスター株式会社より事業継承しております。
BBSecは、ITセキュリティの診断・運用・保守・デジタルフォレンジックを手掛けるトータルセキュリティ・サービスプロバイダーです。「日本のITネットワークを世界一堅牢にする」をコンセプトに、2000年11月の設立以来、高い技術力と豊富な経験、幅広い情報収集力を生かし、大手企業、通信事業者から IT ベンチャーに至るまで、様々な企業のITサービスをセキュリティ面でサポートしています。