2020年11月24日
中立的な第三者としての立場からEコマースや各種ウェブサイトの客観的な評価・比較を行うモーニングスター株式会社(以下、当社)は、「Gomez地方銀行サイトランキング2020」をGomezのウェブサイト(https://www.gomez.co.jp/)で発表しました。
インターネット利用の一般化を背景に、事業運営におけるウェブサイトの重要度は高まっています。更に、加速度的なスマートフォンの普及もあり、PC向けのウェブサイトだけでなく、様々なデバイスへの最適化、スマートフォン向けアプリのリリース、ロボアドバイザーを活用したシミュレーションサービス等、ウェブサイトの枠を越えたコミュニケーションチャネルの形成が進んでいます。こうした流れは、ウェブサイトでの来店予約に留まらず、ローンや資産運用に関するウェブ面談に取り組む銀行も見られることから、顧客とのリアルコミュニケーションの取り方にも大きな影響を与えていると言えるでしょう。SNSを活用して積極的に情報発信やサービス提供を行う銀行等も増えています。
また、世界的な関心の高まりを背景にESG情報の拡充への期待は強く、SDGsへの賛同表明を行う銀行も過半を超えています。
当社は、地域金融の中核を担う地方銀行・第二地方銀行のウェブサイト、とりわけ顧客とのコミュニケーションの起点となるプロモーションサイト(ログイン前の一般ユーザー向けサイト)のユーザビリティやコンテンツを評価したランキング調査を毎年実施しており、今回で9回目の発表となります。当ランキングでは、「機能性・使いやすさ」と「商品・サービス情報の充実度」の2つの視点から構成される176の調査項目により当社のアナリストが評価を行い、総合的に優れた地方銀行サイトのランキングを決定します。
「Gomez地方銀行サイトランキング2020」総合得点上位20サイトは、次のようになりました。
順位 | 得点 | 銀行名 | 前回※ | 順位 | 得点 | 銀行名 | 前回※ |
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1位 | 8.44 | 横浜銀行 | 2位 | 11位 | 7.39 | 第四銀行 | 10位 |
2位 | 8.38 | 群馬銀行 | 6位 | 12位 | 7.37 | 東京スター銀行 | 9位 |
3位 | 8.31 | 千葉銀行 | 1位 | 13位 | 7.35 | 山梨中央銀行 | 19位 |
4位 | 8.23 | 北陸銀行 | 3位 | 14位 | 7.22 | 常陽銀行 | 13位 |
5位 | 8.22 | きらぼし銀行 | 8位 | 15位 | 7.21 | 富山第一銀行 | 22位 |
6位 | 8.19 | 伊予銀行 | 5位 | 16位 | 7.20 | 秋田銀行 | 14位 |
7位 | 8.05 | 北洋銀行 | 4位 | 17位 | 7.16 | 八十二銀行 | 12位 |
8位 | 7.76 | 関西みらい銀行 | 18位 | 18位 | 7.05 | 北國銀行 | 30位 |
9位 | 7.67 | 大垣共立銀行 | 57位 | 18位 | 7.03 | 武蔵野銀行 | 20位 |
9位 | 7.67 | 山形銀行 | 7位 | 20位 | 7.01 | 京葉銀行 | 11位 |
※前回は2019年9月20日発表
順位 | 得点 | 銀行名 |
---|---|---|
1位 | 8.89 | きらぼし銀行 |
2位 | 8.67 | 伊予銀行 |
3位 | 8.47 | 千葉銀行 |
4位 | 8.46 | 北陸銀行 |
5位 | 8.42 | 群馬銀行 |
順位 | 得点 | 銀行名 |
---|---|---|
1位 | 8.80 | 横浜銀行 |
2位 | 8.33 | 群馬銀行 |
3位 | 8.15 | 千葉銀行 |
4位 | 7.99 | 北陸銀行 |
5位 | 7.98 | 北洋銀行 |
「Gomez地方銀行サイトランキング2020」の総合1位は、「横浜銀行」となりました。昨年の総合2位から総合1位に躍進する結果となりました。総合スコアは8.44点を獲得し、カテゴリ別では、「機能性・使いやすさ」で7位、「商品・サービス情報の充実度」で1位となりました。 年金、相続や外貨預金等の投資性商品に関するコンテンツを幅広く展開しており、預金商品や住宅ローンに関するマネー・シミュレーション機能も提供しています。また、LINEアカウントを活用した年金や老後資金に関するシミュレーションサービスも行っています。更に、グループ全体でSDGsへの賛同表明を行い、具体的な取り組みの記載に留まらず、動画やブックレットの掲載も行う等、大変充実した情報発信内容となっています。社会的な関心の変化に柔軟に対応し、常に新しい情報や技術を積極的に取り入れているウェブサイトと言えるでしょう。
総合第2位は「群馬銀行」となりました。カテゴリ別では、「機能性・使いやすさ」で5位、「商品・サービス情報の充実度」で2位となりました。細やかなサイト改良を重ねて、昨年の総合6位から大きく順位を上げる結果となりました。
トップページの冒頭、ユーザーがまず目にする位置に、各種キャンペーンや年金試算に関する新たなシュミレーションサービス等をスライドショーで提示し、アピールしたい新鮮な情報を前面に打ち出すことに成功しています。また、ローンや資産運用等について相談できる「相談予約サービス」に関するメニューがトップページに掲載されており、リアル店舗での相談を希望するユーザーには非常にわかりやすい動線となっています。「相談予約サービス」は、相談内容に応じて幅広い店舗・ローンプラザを対象とし、予約手続きもウェブ上で完結します。また、同じくトップページに掲載されたチャット機能も利便性が高い新機能となっています。このように、新鮮な情報や利便性の高い機能をトップページにわかりやすく掲載することで、ユーザーにとって使いやすい魅力的なサイトとなっています。
総合第3位は「千葉銀行」となりました。カテゴリ別では、「機能性・使いやすさ」「商品・サービス情報の充実度」共に3位となっています。
デザインやアクセシビリティにおいて、昨年に引き続き高い評価を得ています。マウスカーソルを対象情報に重ねると色彩反転する等の見やすいデザインの採用や、金利・手数料等の参考情報への動線確保といった工夫により、見やすく使いやすいウェブサイトを達成しています。利用するユーザーにとって、サイト内検索の機能性や入力フォームのサポート機能等、使いやすい細やかな配慮も行き届いています。ローン商品や投資性商品の解説やシミュレーション機能も充実しており、総合的にユーザー目線に立った使いやすく充実したウェブサイトと言えます。
地方銀行・第二地方銀行(以下「地銀等」)におけるウェブサイト改善の動きは引き続き活発です。
マルチデバイス化の流れを受けて、トップページのスマートフォン最適化はほぼ全行が達成しています。しかしながら、スマートフォン最適化されたウェブサイトの情報量がPCサイトと同等となっている地銀等は、昨年に引き続き全体の4割に留まっています。ウェブサイトの表示速度の向上や視認性や操作性を向上させるためのデザインの改良については、各行の継続的な取り組みによって全体的な達成率は上昇傾向にありますが、マルチデバイス化対応についてはまだ改善の余地が大きくある分野と言えます。
世界的な関心の高まりを背景に、従来のCSRや社会貢献に関する情報だけでなく、SDGsへの賛同表明を掲載する地銀等も5割を超えました。
今年の大きな注目点としては、顧客コミュニケーションにおけるウェブサイト等の活用方法の多様化が挙げられます。ウェブサイトにおいて、ロボアドバイザーによる投資シミュレーションを筆頭に、ライフプラン、年金やローン等のシミュレーション機能の拡充は年々進んでいますが、こうしたシミュレーション機能の提供や商品説明に留まらず、投資や資産運用、資産形成に関する読み物記事やブログを提供する地銀等も3割近くに達し、LINE公式アカウントで情報発信を行う地銀等は既に6割を超えています。更にLINEアカウントを通じてシミュレーションサービスを提供する等、SNSの活用の仕方も広がりを見せています。現在は約1割が導入しているヘルプやサポートのためのチャット機能については、今後は導入する地銀等が増えていくと思われます。
また、地銀等の約4割が、ウェブサイトにおいて来店予約サービスを提供しています。新型コロナウイルス対策としても、不要な混雑や接触を避けてローンや資産運用等について相談ができる来店予約サービスは、利便性だけではなく安心感もあり、今後の普及が期待されます。但し、現時点においては、来店予約サービスは機能としてあるものの、予約できる店舗が非常に限定的であったり、予約がウェブサイトでは完結せずに電話確認が必須だったりと、サービスの範囲や内容は導入行においても大きな隔たりがあります。一方で、先進的な銀行においては、ウェブ上の面談予約だけではなく、面談そのものをウェブ上で実施しています。
今後は、シミュレーション機能、チャット機能といった新しいツールの導入、LINE等のSNSアカウントの活用等の推進を図ると共に、来店予約機能の拡充等を用いたリアル店舗での顧客とのコミュニケーションの効率化や利便性向上のためにウェブサイトを一層活用していくことが期待されます。
調査期間 |
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調査対象 |
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調査範囲 |
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本調査では、「機能性・使いやすさ」「商品・サービス情報の充実度」の2つの切り口から設定された174の調査項目に基づいて当社のアナリストが調査を行います。主な評価内容は以下のとおりです。
カテゴリ名称 | 評価内容 |
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機能性・使いやすさ | ウェブサイトの使いやすさを評価するカテゴリです。(1)メニューとナビゲーション、(2)コンテンツの使いやすさ、(3)デザインとアクセシビリティ、(4)安定性と信頼感、(5)情報検索とユーティリティ機能などが評価のポイントとなります。 |
商品・サービス情報の充実度 | ウェブサイトの情報量を評価するカテゴリです。(1)インターネットサービス情報、(2)貯蓄性商品に関する情報、(3)投資性商品に関する情報、(4)ローン商品に関する情報、(5)会社・店舗・ATM情報などが評価のポイントとなります。 |