2020年8月24日
中立的な第三者としての立場からEコマースや各種ウェブサイトの客観的な評価・比較を行うモーニングスター株式会社(以下、「当社」)は、「ESGサイトランキング2020」をGomezのWebサイトで発表しました。
世界的なESG投資の拡大やサステナビリティに対する関心の高まりを背景に、国内の上場企業では、財務情報だけでなく、企業価値の向上や企業ビジョンへの共感につながる幅広い非財務情報をウェブサイトで情報発信する必要性が急速に高まっています。
当社では、これまで国内の上場企業が提供する株主・投資家向け広報(以下、「IR」)サイトランキング調査を13回実施し、企業の情報発信について定点観測を続けてきました。こうした調査のなかでも、ESG投資を念頭に置いた情報発信の拡大がここ数年における顕著な傾向として挙げられます。とはいえ、ESGサイトは、先行するIRサイトとは異なり、情報発信の内容や手法に企業ごとに大きなばらつきが存在し、まさに黎明期とも言えます。そのため、当社では、長年IRサイトランキング調査で蓄積したノウハウやデータを活用し、そのウェブサイトの使いやすさや情報の充実度を目的とした「ESGランキング」調査を実施しました。
調査項目は「ウェブサイトの使いやすさ」「ESG共通」「E(環境)」「S(社会)」「G(ガバナンス)」の5つの切り口から成り、主要ユーザーである株主・投資家だけではなく、幅広いステークホルダーの視点を盛り込んで設定しました。これらを当社アナリストが評価を行い、総合的に優れたESGサイトのランキングを決定します。
「Gomez ESGサイトランキング2020」上位10社は、以下のようになりました。
順位 | 得点 | 会社名 |
---|---|---|
1位 | 8.46 | リコー |
2位 | 8.28 | 積水化学工業 |
3位 | 8.16 | 伊藤忠商事 |
4位 | 8.11 | 三井化学 |
5位 | 8.04 | 東レ |
6位 | 7.92 | アサヒグループホールディングス |
7位 | 7.87 | MS&ADインシュアランスグループホールディングス |
8位 | 7.85 | みずほフィナンシャルグループ |
9位 | 7.84 | コニカミノルタ |
10位 | 7.68 | 資生堂 |
※「Gomez ESGサイトランキング2020」(2020年8月24日発表)
※11位以下の総合ランキング結果はGomezのWebサイトをご覧ください。
「Gomez ESGサイトランキング2020」ノミネート企業118社のウェブサイトから、総合得点6.00点以上に贈られる「ESGサイト優秀企業」に今年度は88社が選定されました。
今回が初となるESGサイトランキング調査は、5つのカテゴリから構成され、総合得点だけでなく、5つのカテゴリにおいても得点と順位の算出を行っています。調査結果の特色としては、殆どのノミネート企業において各カテゴリ得点・順位に大きなばらつきがある点が挙げられます。特定のカテゴリの結果が大きく足を引っ張って、総合得点・順位を下げているというケースも散見されます。
SDGsへの賛同を掲げる企業は108社(91.5%)、特定した重要課題(マテリアリティ)について掲載している企業は96社(81.4%)と、いずれもESGにおいて特に社会的な注目度の高い項目であることから、多くの企業が積極的な情報掲載を行っていました。一方で、SDGsについて自社の目標や取り組みについて具体的に記載している企業は46社(39.0%)、重要課題(マテリアリティ)ごとに実績評価指標を具体的に掲載している企業は38社(32.2%)に留まり、具体性を持った目標、取り組みや評価の記載が課題となっています。
外部評価についてとりまとめた専用ページをもつ企業は83社(70.3%)となりました。
個別の指数参入について掲載している企業は、指数毎に全企業の32.2%~64.4%となっています。多くの企業が、受賞歴や指数参入といった第三者的な評価について、各分野において一定の条件達成を客観的に証明するツールとして有効活用していることがうかがえます。また、こうした情報は、ユーザーにおいても、企業を調査・評価する際の基準として有力な情報であるため、まずは専用ページを設け、ロゴと合わせて掲載することを推奨します。更に、トップページにもロゴを掲載することで、多くのユーザーに向けて訴求することに成功している事例もあります。
新型コロナウイルス (COVID-19)に因る影響から、BCPプラン(事業継続計画)やテレワーク(在宅勤務)は、より一層注目が高い項目となっています。しかしながら、BCP(事業継続計画)について具体的に掲載している企業は60社(50.8%)、テレワーク(在宅勤務)について掲載している企業は34社(28.8%)に留まります。現時点では、一時的な対応としてトップページやニュースリリースで情報掲載している場合も、将来的にはコンテンツとして掲載することを推奨します。特にこうした社会的な注目度が高い項目をウェブサイトに掲載することは、取引先や従業員、またそれらの関係者等に対しても改めて周知できる機会でもあるため、掲載箇所や掲載方法について工夫が必要です。
ESGサイトでは、動画活用について、まだ発展途上と言えます。ESGサイトに動画を掲載している企業は29社(25.4%)となります。掲載している場合は、ESGトップページにSDGsやサステナビリティに関する戦略を紹介する動画を掲載しているケースや、社会貢献に関する特定の取り組みを動画で解説するケースが一般的です。動画による情報発信は相対的に訴求力が高く、積極的な掲載を推奨します。
メニューに「ESG」「CSR」「サステナビリティ」が含まれている企業は116社(98.3%)となっています。これは、殆どの企業が、ESG等に関する情報を企業情報やIR情報と同程度の重要性を有すると認識している証跡と言えるでしょう。一方で、ESGサイトと既存の企業情報サイトやIRサイトとの関係において、ウェブサイト上の動線に改良が必要と思われるケース、デザインが統一されていないケース、情報の掲載箇所に改善が必要なケース等も見られました。ESGサイトに限りませんが、ユーザーの利便性へ配慮したサイト設計、サイトデザインが重要です。
順位 | 得点 | 会社名 |
---|---|---|
1位 | 9.54 | 三菱重工業 |
2位 | 9.21 | 小松製作所 |
3位 | 9.14 | 丸井グループ |
4位 | 8.87 | オムロン |
5位 | 8.82 | ヤマハ発動機 |
5位 | 8.82 | オリエンタルランド |
順位 | 得点 | 会社名 |
---|---|---|
1位 | 9.60 | 第一生命ホールディングス |
2位 | 9.12 | 積水化学工業 |
3位 | 9.10 | 大阪瓦斯 |
4位 | 9.07 | 伊藤忠商事 |
4位 | 9.07 | コニカミノルタ |
順位 | 得点 | 会社名 |
---|---|---|
1位 | 8.49 | 東レ |
2位 | 8.39 | 日本郵船 |
3位 | 8.10 | 双日 |
4位 | 8.02 | パナソニック |
5位 | 8.01 | 三井化学 |
順位 | 得点 | 会社名 |
---|---|---|
1位 | 9.73 | みずほフィナンシャルグループ |
2位 | 9.47 | 日本電気 |
3位 | 9.24 | ヤマハ |
4位 | 9.20 | 東芝 |
5位 | 9.19 | 三井物産 |
順位 | 得点 | 会社名 |
---|---|---|
1位 | 9.52 | リンテック |
2位 | 9.02 | 島津製作所 |
3位 | 8.95 | SUBARU |
4位 | 8.88 | リコー |
5位 | 8.62 | 伊藤忠テクノソリューションズ |
※6位以下の各カテゴリーランキング結果はGomezのWebサイトをご覧ください。
調査期間 |
|
---|---|
調査対象 |
|
調査手順 |
|
カテゴリ名称 | 評価内容 |
---|---|
ウェブサイトの使いやすさ | 情報の見つけやすさや各コンテンツの見やすさ・使いやすさ、さらにアクセシビリティ基準への対応状況や表示速度等を総合的に評価します。Gomezランキングの根幹となるカテゴリです。 |
ESG共通 | 企業情報サイトやESGサイトにおいて、自社のビジネスに照らし合わせたESGに対する考え方や取り組みをどのように情報発信しているのかを総合的に評価します。客観的な評価指標の1つとして、外部評価やイニシアチブについても重要視しています。 |
E(環境) | 環境への取り組みを評価するカテゴリです。気候変動、水質保全、資源循環等の各分野での取り組みや数値データ等の開示状況を評価します。 |
S(社会) | 社会への取り組みを評価するカテゴリです。ステークホルダーや社会貢献活動の対応状況や人事制度や労働環境について評価します。 |
G(ガバナンス) | ガバナンスに関する取り組みを評価するカテゴリです。コーポレートガバナンスや、内部統制に関する考え方や取り組みを評価します。 |
Gomezは、インターネット上で提供されるサービスを中立的な立場から評価・分析し、インターネット利用者の利便性向上とEコマース市場などの拡大に貢献するための情報提供・企業向けのアドバイスを目的とし、消費者・企業双方に対して利益となる情報を掲載しています。
Gomezは、モーニングスター株式会社ゴメス・コンサルティング事業部により運営されています。